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Writer's pictureとおやま犬猫病院

「肝臓の数値が高いほど、肝臓が悪い」は嘘?!


こんにちは。とおやま犬猫病院の院長、遠山伸夫です。

今回はなかなか更新できていなかった本ブログで、

あなたの犬猫ちゃんが1回は行ったことのあるだろう血液検査結果の読み方を

説明しながらご紹介します。

そもそも、「肝臓の数値が高いほど、肝臓が悪いのは嘘?!」なんていう、

ちょっと意外なタイトルにしたのには理由があります。

他院にかかっている、もしくはかかっていた犬猫ちゃんの飼い主さんが、

当院へ受診された際に、血液検査結果を持ってきてくれることがあります。

これまでの血液検査結果を見ることで、

過去の犬猫ちゃんの状態を把握したり、これからの治療方針を探ることが出来ます。

ただ、よくあるのは、

「うちの子、肝臓の数値がかなり高いって言われたから、

肝臓病専用のフードとお薬をずっと与えています」

というケースです。

はたして、それって本当に必要なんでしょうか?

犬猫ちゃんの飼い主さんがよく間違えてしまっているのが、

今回のタイトルにあるような、

「肝臓の数値が高ければ高いほど、肝臓の機能も悪くなる」という思い違いです。

手術前の血液検査や健康診断で必ずと行っていいほど測る、

肝酵素のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALTもしくはGPT)ですが、

参考基準値より高ければ、肝臓に障害(いわゆるダメージ)があることを示します。

仮にALTが150 U/lのわんちゃんAと500 U/LのわんちゃんBがいるとします。

さて、どっちのわんちゃんの方が、肝臓が傷害されているでしょうか?

答えは「どちらかはわからない」です。

そんなはずはないんじゃないの、と思われる方もいるかもしれません。

正確に答えるとするならば、

どちらのわんちゃんも、肝臓が障害されていること自体はわかりますが

どちらのわんちゃんの方が、肝臓の障害がひどくてまた機能が低下しているかは、

このALTの項目だけでは、残念ながらわかりません

もっと簡単にいうと、

あなたの犬猫ちゃんの肝臓にダメージがあるかどうか(あり or なし)しかわからないのです。

ALTの数値が高ければ高いほど重症だろうと錯覚しやすいですが、

わんちゃんBの方が元気でも、何も不思議はないのです。

ここで大切なのは

「ALTがどれだけ高いかということではなく、なぜALTが高くなってしまっているか」です。

健康診断でALTが高いことが偶然見つかった時、

獣医師から肝臓が悪いからとりあえず肝臓のお薬を飲んでみましょうと、

言われるがままお薬を飲んでいる飼い主さんが多いです。

よく考えてみてください。

なぜALTが高くなっているかを詳しく検査せずに、

とりあえずお薬を処方するっておかしいですよね。

だって、そのお薬が効いてくれる保証は何もないですから。

どんなお薬だって、原因がわかっているからこそ効果があります。

肝臓の数値が高いからと言って、効かないかもしれないお薬を処方する獣医師は考えものですね。

でも、それが普通のことのようになってしまっている現状がかなり心配です。

血液検査に限ったことではないですが、

かかりつけの獣医さんが、検査で異常が出た時に納得のいく説明をしてくれているか、

今一度振り返ってみることをオススメします。

今回のブログを読んで、うちの子は今の治療で大丈夫かしらと心配になられた方は、

お気軽に当院までご相談ください。

「ブログを読んだ」とお伝え頂ければ、随時無料相談をお受けします。

P.S.

もちろん「肝臓の数値が高ければ高いほど、肝臓の機能も悪くなる」というのが、

全くの間違いではありません。

肝臓の障害や機能を示す検査項目は他にもあり、

例として総ビリルビンという黄疸を示す値は高ければ高いほど症状が重いということになります。

かかりつけの獣医さんがそれぞれの検査の意味や限界をちゃんと理解していれば、

あなたの犬猫ちゃんに適切な診断や治療を行うことができるはずです。

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